14年間の看護師生活を経て、私は「営業職」という全く異なるフィールドへ転職しました。この記事では、なぜ安定した医療職を手放してまで営業の世界へ飛び込んだのか、そしてその先に見えた“もうひとつの道”についてお話しします。

なぜ看護師を辞めようと思ったのか

きっかけは、子どもが生まれたことでした。夜勤続きの生活の中で、家族と過ごす時間が減り、「このままでいいのか」と強く感じるようになったのです。仕事は好きでしたが、“働き方”に限界を感じていたのが正直なところです。

また、医療現場では多くのシステムが導入されているのに、記録や情報共有は依然として非効率な部分が多いことにも疑問を持っていました。「現場を変えたい」と思う気持ちが少しずつ芽生えていったのです。

営業という選択肢にたどり着いた理由

「営業」と聞くと、ノルマや売り込みのイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、実際には“課題を聞いて、解決策を提案する仕事”です。これは看護師が日常的に行ってきた「患者さんの話を聞き、問題を整理し、ケアプランを提案する」プロセスにとても近いものでした。

特に私が興味を持ったのは「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」を支える営業職でした。現場を支える立場から、今度は“仕組みを作る側”に立ちたいと思うようになったのです。

最初の壁と乗り越え方

転職初期は正直、かなり苦戦しました。専門用語の違い、商談の進め方、提案資料の作り方…何もかもが未知の世界。しかし、看護師時代に培った「傾聴力」と「問題解決力」が大きな武器になりました。

  • 相手の話を遮らず、背景を理解する力
  • 課題を整理し、優先順位を立てる力
  • 改善策を“相手の目線”で伝える力

この3つのスキルは、まさに営業職における基礎です。最初は緊張の連続でしたが、「人の話を聞く」ことに関しては、14年間の看護経験が自然と活かせていました。

医療DX営業で感じた“やりがい”

医療現場の非効率をテクノロジーで解決する――それは、まさに私が現場で感じていた課題そのものでした。電子カルテ連携や音声記録AIなど、導入支援を行う中で「これで夜勤の記録が早くなった」「残業が減った」といった声を聞くたびに、大きなやりがいを感じます。

営業は“売る仕事”ではなく、“届ける仕事”。看護師時代と同じく、人の生活を支えるという本質は何も変わっていません。

異業種転職で得た3つの学び

  • 行動の速さが結果を変える:完璧を待たずに動くことが成果に繋がる
  • 数字に向き合う力:医療では見えにくかった“成果”を数値で可視化できる
  • 現場と経営をつなぐ視点:医療の課題を、組織や社会単位で考えられるようになる

これらはすべて、営業職に就いたからこそ得られた視点です。特に「仕組みを変える立場」として医療を見つめ直せるようになったのは、大きな財産でした。

看護師のキャリアは“ひとつじゃない”

看護師という仕事は素晴らしい職業です。でも、人生のステージや価値観の変化によって、働き方を見直すタイミングは必ず訪れます。大切なのは、「看護師を辞めること=終わり」ではなく、「新しい形で医療に関わることもできる」と知ることです。

私の場合は、それが“営業”という形でした。現場を離れても、現場を支える仕事がある。これを知っているだけで、選択肢の幅はぐっと広がります。

まずは“情報を集める”ところから始めよう

転職に不安はつきものです。ですが、情報を集めるだけでも不安は確実に減ります。特に医療職専門の転職エージェントでは、「異業種に強いキャリアアドバイザー」が無料で相談に乗ってくれます。

転職は「辞める決意」ではなく、「自分の未来を選び直す行動」です。もし今、少しでも迷っているなら、まずは一歩だけ踏み出してみてください。新しい景色が見えてくるはずです。